寺に住むカレー妖怪のブログ

埼玉は芋芋しい町のとあるお寺に住みついているカレー妖怪のブログです。寺務したりカレー食べたりカレー作ったりカレーを愛でたりしています。 住職に隠れてこっそりやっているお寺のフェイスブック→https://www.facebook.com/unkousan/

安居修行中のカレー事情②

前回のあらすじ:カレー妖怪は山の上の僧堂に安居(修行)することになった。

麓の茶店でカレーを1.5杯たいらげて、これまで幾度となく妖怪を支えてきたカレーと別れを告げ、なけなしのカレー要素は姉から餞別にもらったカレー味歯磨き粉。

いざゆかん僧堂。

 

そして始まる旦過寮。その日の夕食(薬石という)は、菜飯・汁物・小松菜となめたけの和え物・きゅうりの漬物・高野豆腐の煮物だった。食事に関してはこのような精進料理生活がずっと続くことを覚悟(ちょっと楽しみに)していたのだが、予想とのギャップは上山の翌日にさっそく訪れた。

(旦過寮については過去記事参照)

 

currymandara.hatenablog.com

 

二日目の朝は粥と少しの和え物、漬物であった。順当な精進料理である。

しかしお昼ご飯、先輩が部屋に持ってきてくださったお盆の上の品を見ると、なんとかぼちゃクリームパスタである。しかも麺に絡んでいるのは豚バラ肉ではないか。

………多分これは豚バラ肉を来山者あたりから差し入れでいただいたんだな、そういうラッキーメニューなんだな…貴重な肉をありがたくいただこう………。

しかしその日の薬石も豚バラとなすの炒め物であった。これはこれは、さぞたいそうな量の豚バラ肉をいただいたのだろうな……次の日の薬石はチキンハヤシライスであった。

 

後にその理由が分かった。一般的に精進料理といえば聞こえはよいが、昔ながらの僧堂は、おかずが少ない&時間がない→空腹&ごはんのみお代わり可能→みんな白飯をバカみたいな量食べる→脚気(かっけ)という病の量産環境なのである。脚気がわからない人はググろう!

修行といえど命せまる危険は駄目だよということで、自分が安居した際のお山のトップの方は、精進料理にこだわらないメニューを良しとしたのである。

したがって、朝食(小食(しょうじき))のみ精進料理であるが、昼食(中食(ちゅうじき)、夕食(薬石(やくせき))は一般的な学食のようなメニューが出されたのである。

その献立スタイルを教えてもらった時、当然脳裏に浮かんだのは、「これは、カレーもあり得るのでは???」という期待であった。

そもそも二日目にハヤシライスが出たのだ。ハヤシがあってカレーがないなんてことはないだろう???

もちろん、メニューを決める食事担当の僧侶(典座和尚(てんぞおしょう)にリクエストなどはできるはずもないので、自分はずっと、そっと、待つのみである。

 

旦過寮で孤独と向き合い、先輩方と同じスケジュールに加わってから覚えることは多いわ寺の中を駆け回ってへろへろだわ、怒られるわ睨まれるわお経は覚えられないわ…疲労困憊、上山から一週間後、その時は来た。(意外に早かった)

薬石のために食堂に向かうと、ただようなつかしいあの匂い。

カレーライスだあああ………!!!!

もはや同窓会の気持ち。存在ごとなつかしいのあの子、何年ぶり?(一週間ぶりです)

カレーが食べられるのならば、私思ったよりもがんばれそう……!!

そう思ったのもつかの間、いざ食べんというその時、試練は訪れるのであった。続く。