シンガポール随喜旅⑧終 お坊さんたちとリトル・インディアに行こう!
前回のあらすじ : ドーサ!ドーサ!イドゥリ!
https://currymandara.hatenablog.com/entry/2024/11/25/191132
シンガポール随喜旅、これまで団体行動を抜け出したソロカレー活動を中心に綴ってきたが、実は元々設定されていた団体行動旅程の中にもリトル・インディアは組み込まれていた。
そのタイミングは、ソロ活動の翌日、今回の旅行のメインである慰霊法要が終わり、慰労の食事会が済んだ後。所要時間はおよそ20分。…20分!!?
ばかな、20分で何ができるんだ!という心の叫びから、これまで綴ったようなソロ活動を行ってきたというわけで、この団体行動中のリトル・インディアでは特に何かすることを諦めてお散歩でもしようと思っていた。
のだが、前述した食事中に少し風向きが変わった。参加者の中でも中々重鎮のお坊さんが、リアル・インディアに興味津々なのである。ご自身もカレーがお好きであり、私ともカレー談義をしてくださるありがたい先輩だ。仮にI老師としておこう。
そのI老師は私のソロ活動の話を聞き、「リトル・インディアでビリヤニが食べたい」という方向に話が進んでいった。そしてその話に7,8名ほどの僧侶が乗っかって、バスガイドさんも少しばかり予定時間を延ばしてくれて、私のアテンドでリトル・インディア・ビリヤニチャレンジが始まろうとしていたのである。これは僥倖、棚からぼたもち!!!
今度は団体バスに乗って、いざ、ふたたびのリトル・インディアへ!!
(ちなみに旅の主目的である慰霊法要については、色んな関係から書き記すことは控えさせていただきます。大切に厳かに行わせていただきました。)
間も無く降り立ったリトル・インディアの光景は、食事会をしていたシンガポールの銀座的街並みとは全く異なるインド風味、というかほぼインドなのはここまで読んでくださった読者の方々は了承済みと思うのだが、お坊さんたちにとってはカルチャー・ショックだったようだ。洗練された高層ビル街、観光に訪れた西洋人がそれなりの格好で闊歩し、ショーウィンドウには最新の服飾やブランドが並んでいたのは、つい15分前だったっけ。今目の前には、日本の商店街のような低層建物の街並み、サリーなどの煌びやかな服を来たインド界の人々がにぎやかに歩き、店頭には儀礼用の花や儀礼具、やたらきらきらした宝飾品や、強い芳香を放つ南国の果物が並ぶ。
一行、あらゆるものを物珍しげに眺めながら、フードコートのあるテッカ・センターへ。
バスがこの近くに停車することを知っていたので、短時間でビリヤニを食べるとなったらテッカ・センターしかないと思っていたのだが、到着したあたりならなんとなく雲行きが怪しくなってきた。
要因は多々ある。まず、さらっと前述したが、我々は食事会のすぐ後にここに来たのである。今回の旅の中で慰労も兼ねた一番ちゃんとした食事会だったので、すごくちゃんとしたレストランですごくちゃんとしたお料理をいただいた。そういうわけで、皆既にお腹いっぱいなのである。(私は食事会で完食しつつもお腹の隙間は空けておいた。)やっぱりもうお腹に入りそうにないから買い物してくるね、ごめんね、とセンターの入り口前で数名が消えていった。
センターの中に入ると、カルチャー・ショックは進行してしまったらしい。「冷房ないのか…」「暑い…」という言葉がちらほら聞こえた。私はハッとなる。そうか!終始団体行動だった人達は冷房がきいた屋内で過ごすことが殆どだったから、屋内なのに冷房なしというこの状況が心理的負担になってしまうのか!
法要を行った本堂の方が冷房ない上にお袈裟もつけていたから全然暑かったのにとツッコミたくなったが、涼める!と思っていた場所がそうではなかったことと、なんだかんだで屋外は熱帯気候のシンガポールで数日過ごした皆さまにとって、そろそろ体がキツいらしかった。そういうわけで更に食欲が減退した諸先輩方がまた離脱していく。ああ…しょうがない。私のアテンド力不足でもあった。バスの中で冷房のきいているビリヤニレストランを調べてくればよかった。
でも中には最初から絶対食べる気ゼロで適当に我々を撒いて離脱しようと思っていたと思われる人もいて、それなら最初から言ってくれればよかったのに(´・ω・)としょんぼりしたりしなかったり…いや、優しさなのでしょうけれど…。
それでも発案者のI老師含め4名ほどの先輩が残ってくださった。ありがてえ。
I老師を、テッカ・センターで一番有名と思われるビリヤニ屋さん・Allaudin’ Briyani に案内し、マトンビリヤニをオーダーする。

店頭左上に日本の「地球の歩き方」が拡大して張り出されている(当店が載りました!という宣伝の意)。


大粒のマトンがどーーーん!!!と、ONE PIECEの効果音がぴったりのごとく乗っけられたビリヤニ。ビジュアルもさることながら、デフォルトでスパイスの香りが充満するフードコート内から更に抜きん出る、バスマティライスとスパイスのコラボ香は反則級だ。
正直私とI老師以外のお坊さんたちは、"付き合いで仕方なく"感があったのだが(当然だと思うしそれでも来てくださりありがたかったのだが)ビリヤニが到着した瞬間、見た目と香りにちょっとおおっ!となっていた。
ビニール袋に入れられた豆せんべい・パパドを砕いてビリヤニの上に散らし、いざいただきます。
ああ、気持ちよくうっっまい……。
私も決してお腹が空いているわけではないのだが、このビリヤニはスルスル入っていく、のは私が単にスパイス慣れしているからだけではないはずだ。お米のパラパラ感、塩気と油のバランスがほどよいジャンキー感、屋台飯という高揚感…。この状況で食べるビリヤニとしてベストオブベスト…。例えるなら、飲み会から帰ってきた後、1人部屋で食べる〆のカップ麺。
I老師もお気に召したらしく、顔を綻ばせながら食べていく。そして嬉しいことには、付き合いで一口だけ…と義務的に食べ始めた他先輩たちが、「!!うま!!」「えー、止まらん…」一口また一口と匙を進めている。
更にはI老師が「カレーも食べたい」と言い出し、チキンカレーを買ってきた。

これまたどーーーーん!!!の効果音が似合う、大ぶりの骨付きチキンが2ピース盛られた壮観なチキンカレーですこと。
ええのですか老師…時間的にもお腹的にも…。と思いつつ食べる。すっごいスパイスフル。チェッティナードチキンだろうか?重層的で深みのある味わい、そして結構辛い。そして旨い。
汗が噴き始め、辛い辛いと言いながら、やばい時間無い時間無いと焦りながら、私とI老師が中心ではあったが、なんだがんだで皆匙を進め、気がつけば完食していた。
そして皆で急ぎ足でバスへ。団体行動でも結局私はバタバタなのね。
バスの中で、普段カレーとの距離がそれほど近くない人たちがビリヤニとカレーを楽しんでくれたことに私はほくほくしていた。(あそこで皆さんが惹かれなかったら、付き合わせてしまったことへの罪悪感が半端なかっただろうという意味ではホッとしていた。)
できれば帰国後も、ビリヤニのおいしさを実感した諸先輩方が日本国内でもビリヤニを楽しんでくれることを願う。
シンガポール随喜旅シリーズはここで終わる。ほぼシンガポールのインド人街・リトル・インディアの話しかしていないが、その中の印象では、「こんなに安全に、清潔に、ハードル低くインドを体感できる国はそうそう無いのでは」である。(インド国内との当社比での表現であることをご了承いただきたい。)
インドに興味があるけれど、治安やら衛生やらが心配で中々重い腰を上げられない…という方はシンガポールから始めてみても良いのでは、と思った次第。(インドファンから怒られたらどうしよう)
一方、シンガポールは多民族国家。インドだけでなく様々な国の文化が混ざり合っている。その様相を味わいに、私も再びシンガポールに訪れたく思った。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました🙏
I老師、ビリヤニとカレーごちそうさまでした🍛
シンガポール随喜旅⑦ラギドーサをさがして
前回のあらすじ
ツアーコースを一抜けしシンガポールのリトル・インディアへ。フードコートや散策を楽しみ、残り時間はインドで食べたラギドーサを探すことに決めた。
https://https://currymandara.hatenablog.com/entry/2024/10/02/180532
南インドのクレープ、ドーサの中でも、シコクビエを用いたラギドーサを探して、リトルインディアを彷徨っていた。
フードコートでは見かけたのだが、最後は落ち着いて食べたいという気持ちからレストランを探す。散策中にレストランが立ち並ぶエリアを見かけたので店頭メニューや看板メニューを隅から隅まで見たはずなのだが、なかなかラギドーサは見つからない。普通のドーサならたくさんあるのだけれども。

バングラデシュ料理店も見かけてめちゃくちゃ気になったけれども振り切った。

街で見かけた巨大マッシュルームのバーガー。ベジタリアンむけなのか、はたまたマッシュルームがシンガポールでも大人気なのか。
いや、ベジタリアン向けだとしてもマッシュルームをチョイスする発想は、やはり人気でないと出てこないのでは。

この左下のも気になったメニュー。
Bisibela bathって初めて聞いた。
通る店通る店、マサラドーサ、オニオンドーサ、チーズドーサなど、他のドーサメニューはあるし、聞いたことのないドーサメニューもメニューに並んでいたりするのだけど、中々ラギドーサに出会えない。また時間が無くなっていくよ〜いつものパターンだよ〜。
やはりフードコートで見かけておくとき食べておくべきだったか…。

左から4番めのメニューがおそらくラギドーサだった。
ええい、やはりまた賭けに出るしかない。地球の歩き方を取り出す。
たしか、ティファン(南インドの軽食ジャンル。ドーサも含まれる。)専門の人気店がこのあたりにあったはず。このお店ならばあるに違いない!
街中で偶然見つけることが理想だったので最終手段と思っていたが、時間が迫ってきたので頼らせていただく。薄々わかっていたが、こういう時に自然に出会えないのが私なのだ…。
訪れたのはMurugan idli shop。インド発祥のチェーン店らしい。広い店内にお客さんがちらほら。皆あまり長居しないが、後からもひっきりなしにお客さんが来店する。やはり人気店のようだ。
無愛想なお姉さんがメニューが書かれた注文用紙とペンを渡してくれる。自分で記入しオーダーする仕組みのようだ。どの店員さんもむすっとしながらもキビキビ動いていて、この無人当たりがインドっぽくて私にとっては微笑ましい。

写真はGoogleのお店のメニュー画像より。
メニューにはドーサのメニューが沢山。見たことのないメニュー名も沢山!これならラギドーサがあるに違いな…い………無い。
ダメ元で聞いてみる。
「すみません、ラギドーサってありますか?」
「無いよ」(ムスッ)
ですよね…常連でも無いのにメニューに無いもの聞いてすみません…。
こんなに珍しいドーサがたくさんあるのになぁ。古典的に表現するならまさにトホホであるが、日本では絶対見ないような、食べたことのないドーサメニューを頼むのも一つの縁であろう。単語的にも一番わからないメニュー、これだ!"Mudakathan podi dosa"!!!
Mudakathan 、聞いたことのない単語である。あえてスマホで意味を調べることはしない。わからないものにわからないまま出会う経験は、この頃は滅多にないからこそ大切にしたい。

数分で提供されるMudakathan podi dosa。む、生地に緑の粉末状のものが練り込まれている。これがMudakathan なのか。
わくわくしながらひとくち。お、なんだかほのかに、植物性の・漢方薬っぽい苦味が。しかしすぐに生地に使われている米粉の甘味や、食べたことのある陽気な味が追いかけてきた。これはpodiと言われる南インドのふりかけだろう。写真だと、生地に練り込まれた黄色い粒状のものである。
帰国後に調べると、Mudakathan とはインドで伝統的に用いられてきた薬草の一種で、リウマチや腰痛、頭痛などに効くとされているそうな。とあるサイトにはドーサに混ぜると良いとジャストで記されていた。ということはインド本国でもこのドーサは食べられているのか。
苦味をもう少し活かしても良いのかも知らないが、このくらいが食べやすいのかも。そして付け合わせのチャトニ(ソース)の種類が多いのも嬉しい!ピーナツやらココナッツやらトマトやら、いろんな種類のチャトニとの組み合わせを楽しみながら食べ進んでいくと、追加のチャトニがサーブされる。えっ、おかわり自由なの!?なんだよここはドーサ・桃源郷かよ。
ドーサは薄いクレープ状の料理なので、軽く食べられる。この胃の空き容量ならもしかしてもう一品食べられるのでは…??
店名のidli もティファンの一種で、米粉豆粉を発酵させて作られた蒸しパンである。甘くはなくほのかな酸味が特徴で、ドーサ同様チャトニにつけて食べる。店名にも用いられてしかも壁にこんなの↓が飾られているとくれば、食べるしかないでしょう!

イドゥリへのこの情熱の入れような何故…?

食事中の写真しかなく申し訳ないが、この指でつかもうとしている白いパンケーキみたいなのがイドゥリである。生地の甘味と酸味のバランスがちょうどよい!そして付け合わせのチャトニ勢が素晴らしすぎる。イドゥリが白いキャンパスのような無垢な味わいだからこそ、それぞれのチャトニと組み合わせると違ったイドゥリの顔を見させてくれて、付き合った人によってその後の色を変えていく少女のようだ。(たとえのチョイスがおじさんのようだ。)
ラギドーサには出会えなかったものの、また興味深いインドの食文化にシンガポールで出会うというおもしろい体験ができた。練り込む薬草は他にもあるのだろうか?(その下のメニューのmorningsもある意味薬草だけど)
ジャガイモが入ったバージョンのMudakathan podi masala dosaも食べてみたい!
今メニューを振り返るとそんなことも思うのだが、この時はお会計のあと何を考える余裕もなく、満足感は抱いたままダッシュでホテルに戻り、既視感のあるぎりぎり感で集合時間に間に合ったのである。
シンガポール随喜旅⑥
前回のあらすじ:シンガポールのインド人街、リトル・インディアの屋台を楽しむ。
テッカ・センターで小腹を満たした後は、街を散策し、最後にもう一軒レストランに行ってホテルに戻る予定だ。
シンガポール×インドの街並みは、なんとも不可思議であった。
歩いていると現れるヒンドゥー寺院、祭祀用のお花を売るお店、インド料理レストラン、謎の散髪屋、路地の段ボールの山にたかるカラス…そしてなにより歩く人々の様相を見るととてもインドなのだが、


一方で寺院の背後にそびえる高層マンション、クラクションがひっきりなしに鳴り響くこともなく人々はちゃんと横断歩道で道を渡るという秩序、ハエは飛び交わず、ごみは散乱することなく道の端々に設置されたゴミ箱へ、とこういったところは確かにシンガポールなのだ。

日本では出稼ぎに来ているネパール人も多いが、シンガポールではどうだろう?と思っていたところ、ネパール要素が入ってそうな名前のお店を発見。しかし店頭メニューを見てみると、ネパール料理の代名詞:ダルバートなどは見られず、バターチキン・ナンと言った北インド料理が目立っていた。



リトル・インディアにある宗教施設はヒンドゥー寺院だけではなかった。
キリスト教教会もあればイスラームのモスクもあり、中国仏教の寺院もあった。
中国仏教の寺院に入ると、出入りをしているのは中華系の人たちのようだった。
日本仏教とはまた異なる、華やかな色合いの祀られ方がなされている。流れているお経も、節がある歌のような印象で、しかも曲調?は明るい。同じ仏教でも様子が全然違い、しかも個人的な印象だとチベットやネパールの仏教の方が隣国中国の仏教よりも(表面上は)日本にちかしいものを感じた。不思議だねえ。

近くのもう1つの中国仏教寺院にも寄ってみたところ、丁度どなたかの法要がなされているようだった。正面に故人の写真が飾られ、僧侶がお経を唱え、参列者が手にお線香を握っている。私はこの場に入ってはいけないのでは?と入口で早々においとましようとしたのだが、遠巻きに見ていた僧侶に「入れ、入れ」と促される。
戸惑いながらも暫く様子を眺め、私なりにご供養の意を示し、外に出ようとした。出ようとしたところで先ほどの僧侶に呼び止められ、身振り手振りで腕を差し出すように言われる。言われるまま右腕を上げると、彼はお経を唱えながら私の頭を撫で、そして手首にオレンジ色のミサンガをくくりつけた。ありがたさ半分、これはドネーション(寄付)を請求されるかなあと言う覚悟半分だったが、僧侶は何も求めてこなかった。疑ってごめんなさいと心の中で謝罪しつつ、感謝の合掌をしてその場を後にする。とはいえ、帰り際にちゃんとドネーションボックスに寄付してきましたよ。シンガポール旅から4か月経つが、オレンジのミサンガはいまだ私の右手首に健在だ。(シンガポールでミサンガ、そして私は空手をする人、というとやはりコナン映画が思い出されるのだがネタが分かる人はおられるだろうか)

さて、そろそろ良い時間になってきた。
最後に立ち寄るインド料理レストランを決めねばならない。
数あるインド料理の中で、これが食べたい!というものが一つあった。
「ラギドーサ」である。

南インドのクレープ・ドーサは通常米と豆を発酵させてつくられるが、ラギドーサはシコクビエ「ラギ」を用いたもので、その独特のミシミシっとした歯ごたえと穀物の味わいに、数年前の南インド旅で初めて食べた私はとりこになった。しかし日本ではなかなか食べられず(少なくとも私はこれがメニューにあるお店に出会えていない)、南インド料理が豊富なこのリトル・インディアなら見つかるのでは?と思ったのである。
これまで歩いていたルートでは、少なくとも店頭メニューにラギドーサを掲げるお店には出会えなかったが、残り時間で探してみせる!!!
次回へ続く
シンガポール随喜旅⑤
前回のあらすじ: シンガポールのインドに来た。
https://currymandara.hatenablog.com/entry/2024/09/12/191401
シンガポールのインド人街、リトル・インディア。その一角にあるフードコート、テッカセンターには数多くのインド料理屋台がひしめいていた!
徒然なるままが許されない時間と胃の容量の中で何を食べるか、日本にいたときから散々真剣に悩んでいた。あまり旅先の予習は好きではないのだがタイムイズマネー、予習イズデリシャス。YouTubeでテッカセンターのお店を予習し、選んだのがこちらのお店である。

ここで売られているのはインディアン・ロジャックというB級グルメ。
元々はロジャックというマレーシア周辺の料理があり、それはスライスした生野菜と、その時々のいろんな具材を混ぜこぜしてソースで和えたものだ。サラダの一種というイメージだろうか。
それがインド移民の文化と融合し、ソースの部分にインドのスパイスが混ぜられたインディアン・ロジャックが出来上がったという。
このように、多民族国家のシンガポールでは、マレー料理×インド料理のような、民族料理のフュージョンが見られることがままあるそうで、せっかくの屋台料理ではそのシンガポールらしさを感じたいと思ったのだ。
店頭には様々な具材が並べられている。お客さんがロジャックにしたい具材を選び、お店の人がその場で調理して出すというシステムの様だ。さて、どの具材にしようかな。定番どころは卵、じゃがいも、えびあたりか。魚のすり身っぽいものも多種存在していて、しかしここの違いはよくわからない。日本でもさつま揚げ屋さんのラインナップはぱっと見ちがいがわからなかったりするよね。
ロジャックは先ほど言った様なサラダ的形態で、具材自体は素揚げされただけ、つまり凝った調理法ではないのでたまごやじゃがいもを選んでも味はなんとなく想像できてしまう。ここは見た目では味が予想出来ないものにしてみよう。ということで、私は真っ赤なイカ🦑と、肉っぽくも魚っぽく見える黒っぽいかたまりを選んだ。店員さんはそれらを再加熱して、野菜をスライスして混ぜ混ぜし、ソースを付けていっちょあがり。
(こういう、店頭にある食材からお客がセレクトしていくタイプってワクワクするよねえ…むわっと店内から湧き出てくる、食べ物を帯びた蒸気や油の匂いも、いいよねえ…。)

極め付けはちょっと厚手のペーパーの上に盛り付けられて、竹串をぷすっと刺して出されるというこのローカルグルメ感、すごくいいよねえ…。
近くの席に座ってさっそくいただきます。
事前にネットで見たマレー系ロジャックや中華系ロジャックはソースがあらかじめ和えてあるようだったが、ここでは別添えだった。まずはソースをつけずに真っ赤なイカを食べてみる。……うん、素材の味だな……。
気を取り直して赤黒いソースをつけて一口。む、甘辛い!最初はピーナッツ味噌の様なあまじょっぱい風味が来るが、あとからチリのような辛味がじわじわ。これは確かに卵やじゃがいもなどの丸っこい味わいの食材に合う気がする!🦑に対する相性は、おそらく好みが分かれるだろうが、私的にはくせになる愛嬌めいた味。選んだもう一つの具材は牛肉であった。あっはっは、これも好みが分かれる味だなあ…日本にあったら、俺が考える最強のロジャックベスト10的な動画が上がるかもしれないなぁと1人でぼんやり可笑しくなった。(多分牛肉より魚のすり身の方が合う)
個人的にはめちゃくちゃ美味しい!というわけではなかったのだが、文化と文化の混ざり合い、そして竹串でさしてなんとなしに食べるというローカル感を体感できたこと自体に楽しさを感じながら、興味深く味わったのだった。
ちなみにマレー系、中華系のロジャックはもっと甘くて日本人的にはあまりなじみのない癖があるらしい。油条という揚げパンの類が具材としてよく出されるとか。
余談だが熱帯雨林気候にも関わらず、そしてこれだけ食べ物がたくさんあるにもかかわらず、蠅という存在がほとんどいないことに驚いた。そりゃオーチャード・ロード付近と比べるとこのあたりの衛生面は劣るには劣るのだが、インドだったらあやつらがその辺にぶんぶん飛び回りたかり回っているのが日常だ。あらためてシンガポールの衛生管理力に驚いた。
食べ終わったあとのお皿はその場に放置せず、近くにある下膳コーナーに片付けるのがルール。係員の人もいて、見回りながらテーブルを拭いている。こういう所がさすがである。
今日、ここで探していたものがもう一つあった。サワーソップという果物である。南国フルーツの一つで、別名グヤバノ。別名の方がタイトルの一部になっているとあるマンガを読んだことがきっかけで、このフルーツの味が気になっていた。日本ではまず見かけない。(冷凍が売っているという情報もあったが見つけられず)マンガによると、ヨーグルトやらバナナやらライチやら色々混ざった味わいだということだ。
かねてよりガイドさんにサワーソップはないかと聞いていたのだが、今は時期ではないから中々ないとのことで、チャイナ・タウンでも見つけられずにいた。(ちなみにチャイナ・タウンでは大量のドリアンが売られていた)
南国フルーツに時期とかあるのか…?という素人的疑問はありつつ、リトル・インディアならワンチャンあるのでは…と思ったのだが、現地の人に聞いてもやはり無いようだった。
そんな中でテッカセンターに向かう途中に、こちらに出会っていた。

まさかのPOKKAが日本語表記付きでジュースを売っていた。
別の出会いがいつ来るかわからないのでとりあえず衝動買い。人生初、サワーソップとの邂逅やいかに。
……うまい!!フルーティーさが加わったカルピスみたい。蒸し暑い気候の中でのフルーツ水分は尚ありがたい!!
しかしなんというか、思った以上の感動がなかったのが事実である。あくまでジュースだからなのか、サワーソップ自体が私の琴線に触れなかったのか…。
ということがあってからのテッカセンターにて、私は再会を果たした。

なんだまたジュースか、とあなどることなかれ、今度はその場で絞ってくれた100%サワーソップジュースなのだ!!
実はテッカセンターには端っこの方にちょっとだけ中華系のお店もあり、その中のいくつかは果物ジュースやコーヒー飲料を売っていた。そのうちの一つがメニューにサワーソップと掲げていたのを見逃さなかったんだぜ!!
やはり時期ではないのか冷凍していた果肉をジューサーに入れていたが、念願のサワーソップには変わらず。
厚みのある白色が、透明感のあった先程のポッカ製とは明らかに違う質であることを物語っていた。いざいざごくり。
…!!!濃厚!!!とても濃厚です!!!味はヨウグルトとバナナとココナッツを足して割った様な甘味や濃厚さがあれど、同時にランブータンとライチとドラゴンフルーツを足して割ったような瑞々しさも潜んだ味。先程のジュースがかき氷のメロンシロップならこれはメロンそのものである…?その位の違いがあった。
食感の役割も大きい。飲み物に対して食感というのもまた不思議だが、繊維質かつ丸みを帯びた口当たりが不思議な喉越しを生み出し、固形物さながらの感触を生み出していたので飲みごたえ抜群であった。この飲み物に出会えて良かった…。
結局生は食べられなかったけど、この感動がまた凌駕されてしまうくらい絶対に美味しいはず。東南アジア圏に行って見つけた方はぜひ食べたり飲んだりしてみてください。
長々とした食レポにお付き合いくださりありがとうございました。まだもう少し食べるよ!
続きます。
シンガポール随喜旅④
前回のあらすじ:シンガポールについて学んだ団体行動、そしていざゆかんリトル・インディアcurrymandara.hatenablog.com
さて、待ちに待った単独行動!
目的はもちろん、インド系の人々が集まり、生活する一画。リトル・インディアと言われるインド人街である。
シンガポールに来て半日、街には様々な民族の人々が入りまじり、その中でインド系と思われる人たちもちらほら見かけたが(特にバスに乗っている中で、トラックの荷台に乗った土木系従事者のインド系の人々の姿をちらほら見かけたのが印象的だった)、その本拠地?のリトル・インディアはどのような様子なのだろうか。
皆と別れたチャイナ・タウンからリトル・インディアまでは地下鉄ですぐ。駅に入って瞬間で、「こんなにめちゃくちゃ整然と地下鉄が発達しているなら空港からも地下鉄使えばよかった…」と己の朝の行動を省みたものである。
ちなみに地下鉄車内にドリアンを持ち込むと罰金刑です。
地下鉄の駅から出て、リトル・インディアの地に降り立った瞬間、おののいた。
「インドだ…」
行き交う人はインド服をまとったそのルーツの方々。露店にはヒンドゥー教の儀式に用いる花や祭具が並んでいたり、宝石のお店があったり、なによりどこからか充満しているスパイスのかほり。


自分は南インドに行ったことがあるのだが、この光景は明らかに今日見てきたシンガポールよりも思い出の中のインドのそれに近い。
これはテンションが上がるしかないんだな!!!!!!!
おっと、感動してついその辺りをうろうろしてしまったが、ゆっくりもしていられない。実は予想外の事態等色々あり、今回もまたタイムアタックなのである(3時間くらい)。
とはいえ、予想外のことが起こって更に多少縮んだものの、元々時間制限があることはわかっていたので、シンガポールのリトル・インディアタイムに臨む私はさんざん予習してヤマを張ってきたのだ!!(むしろそれ以外はほとんど予習していなかったことは既に反省した)
まずはいざゆかん、テッカ・センター!!!
シンガポールには、ホーカーと言われるフードコート施設が各所に存在している。シンガポールは基本的に物価が高いのだが、ホーカーのご飯はレストランよりも安く、だからといってさすがシンガポール、衛生面も(相対的な判断だが)問題なく、スタッフが定期的・常在的に清掃を行っているのでごみが散乱しているというような光景もない(少なくとも私が行ったところは)。なので観光客のみならず、シンガポールの現地の人々も利用しているのである。
もちろんここリトル・インディアにもホーカーがあり、それがテッカ・センターである。
テッカ・センターは2階建て。まず一階は市場とフードコートが併設されており、新鮮な食材がそのままお店で用いられるいう効率的かつ美味しい流れができあがっている。



わかるだろう、テンションしか上がらないんだよこっちは!!!
魚の磯のにおい、肉の獣くささ、熟した果実のむあっとする芳しさ。これらが縦横無尽に入り混じってなんともいえない生の香りが漂っているのだが、それすら楽しさなんだ。
ゆらゆらと市場をあるきながら、ホーカーエリアへ。
ああ…、ああ………!(感無量)




どこもかしこもインド!インド!!インド!!!
こんなにたくさんのインド料理屋台が眼前に広がっているなんて!!そしてこんなにもたくさんの人々が、しかもインド系だけでなく、マレー系や中国系っぽい人も、西洋系も中東系も、多様な人々がスパイス料理を楽しんでいるなんて!!浄土か…?
先ほどののエリアから数十メートルしか離れていないのに、市場のにおいは全てスパイスとギー(油)の香り、すなわち慣れ親しんだカレーのでかき消されていた。がやがやと飛び交う人々の会話、にぎやかな客引き、そしてジュージュー、ジャージャーと料理を作る音が空間を埋め尽くしていた。
はてさて、ここでいったい何を食べようかな!(決めてるけど)
続く
シンガポール随喜旅③
前回のあらすじ:余裕をもって空港に着いたはずなのに、近未来空港と朝の通勤ラッシュと車線多すぎ超都会道路と熱帯雨林気候というシンガポールのステータスを舐めていたので結局遅刻ギリギリに合流しました。
前日にすでにシンガポール入りしていた本流グループと合流し、ここからしばらくは観光バスで団体行動。悪戦苦闘しながら進んだ大都会・シンガポールはオーチャード・ロードをバスは苦も無く進んでいく。方向的には私が先ほどまで歩いていた道を逆方向に。ちょっとむなしい。ちなみにオーチャード・ロードはシンガポールの銀座と言われているそうだが、ぶっちゃけたところ銀座の上位互換だったと思う。後でこの辺りを歩いてぶらぶらしたのだが、ごみは全然ないし(路上喫煙・ぽい捨ては厳しく罰せられており、ごみ箱が道上の各所に設置されている。)道路は馬鹿でかいのに横暴さが無くて(「理路整然」の四字熟語が似合いそうな感じ)、なにより歩いている人にはどことなく余裕が見られていて、ちょっとね、今の日本では都会見栄力みたいなジャンルで見ると勝てるところが思い浮かばなかったです…。


バスの中では日本語ペラペラベテラン現地ガイドさんがシンガポールのことを色々教えてくれた。マレー系・中華系・インド系など様々なルーツから成る多民族国家を束ねるための独裁政治による統制。独裁と聞くとネガティブなイメージがわくかもしれないが、聞けば聞くほど、この国を豊かにするため・周辺国に負けないための緻密な国家経営計画が進んできたんだなあと感じた。勿論独裁ゆえの問題はどこかでなにかしら起こっているわけだが、わたくし政治は詳しくないためそういう考察等は他の方にお任せします。
解説の中で、民族ごとに就業しやすいお仕事が異なっているというのが興味深かった。ハウスキーパー等は英語が上手なフィリピン系出稼ぎ労働者が多いとか、土木系はインド系とかそういう話。
そんな話やら昨日何を食べたんですか?みたいな話やらを周りとしながら、バスはシンガポール名物の植物園に到着し歩いて観光。なんだこのエキセントリック植物オブジェは。しかし団体行動では仕方のない事だけれども解説もそぞろに部分的にかじって先に進んでしまうのね…。

そこからこれまた有名なホテル、マリーナベイ・サンズへ。名探偵コナン好きとしては2019年公開『劇場版名探偵コナン 紺青の拳』で海賊に襲われるホテルとして知られており、図らずも聖地巡礼が果たせてテンションがあがった。(周囲にコナン仲間がおらず「そうなんだ~」で済まされてしまったことは残念だったが)

こんな突飛なデザインでも許されるらしい。
ここに泊まることはとてもできないが(おっっっっ高い!)、街を一望できる展望台には登れるので(有料だがホテル代を聞いた後だととても良心的に聞こえる)、一同はエレベーターへ。高みから見渡すとシンガポールの開発力・経済力をありありと見せつけられた(この記事の1枚目の写真です)。えげつねえな…。

さらに驚いたことには、昼食はチャイナ・タウンと呼ばれる一画に移動したのだが、これまたどうして先ほどのネオ・銀座とは全く街の様相が異なる。今度はどちらかというとシンガポールの横浜中華街と言えよう(ややこしい)。
並ぶ言語はチャイニーズ、露店の商品もチャイニーズ。ドリアンやら鶏の丸焼き、中国仏教の寺院。道のごちゃつきもあちらに近づき、それはそれで風情。



昼食はもちろん中華料理でした。


同テーブルの若人たちに人気が無かったのでほぼ私が食べた。

この後の予定を控えていたので食べ盛りの若人たちにほぼ譲る。
しかし銀座からそれほど離れていないのにこんなにも街並みが異なるのか…という驚きは、この後のリトル・インディアやアラブ・ストリートでの経験も通じて強く強く感じた。どのように、誰の意図で街並みが形成されていったのか、住んでいる人たちが何を感じているのか(自分のルーツとなる民族や国について、あるいは同じシンガポール国籍ではあるも自分と異なるルーツの人たちについて)関心どころである。
昼食を終え、一行はリゾート的な島への観光に向かう…のだが、シンガポール編冒頭で説明した通り、私はここで自由行動の権利を発動します…!!!!
いざゆかん、リトル・インディアへ!!!!!
続く