寺に住むカレー妖怪のブログ

埼玉は芋芋しい町のとあるお寺に住みついているカレー妖怪のブログです。寺務したりカレー食べたりカレー作ったりカレーを愛でたりしています。 住職に隠れてこっそりやっているお寺のフェイスブック→https://www.facebook.com/unkousan/

カレー妖怪、修行から帰ってきてました。

お久しぶりでございます。

約一年ちょっと前、僧侶の資格取得上の一環として僧堂修行(安居/あんご と言う)へ向かった私ですが、

昨年九月末に、あちらでの修行に区切りをつけ、自分のお寺(師寮寺と言う)に帰ってきていました。ただいまです。

 

ブログが更新できておらす申し訳ございませんでした。

書こう書こうと思っておりましたが、なんとなく書けず数か月。

というのも、ブログ再開一発目の話としてはやはり安居中の話だろうと思っていたのですが、話の種類上、あんまり洗いざらい書いてはいかんだろうという部分がそこかしこにあり(決して不法行為をしているわけではないが)、でもそういうところにネタがいろいろ詰まっているんだよなあと思いつつ、その取捨選択を考えるのが億劫だったという次第です。

 

しかし大丈夫なラインだけ話しても興味を持ってくれる人はいると信じてちょっとずつ書いていこうかと思います。私はチキンですので大丈夫と思う部分しか話さず、したがって安居のすべてがわかるわけではありません。ご了承ください。

あらかじめことわっておきますが、これはあくまで私一個人のエピソードであり、すべての僧堂に当てはまるわけではありません。また私と同じ僧堂にあっても、基本的なところは共通していたとしても、五年前の様子とは全然違いますし、五年後もまったく変わってくるでしょう。簡単に全体化せず、一個人の体験・主観として受け取っていただければ幸いです。

出だしとして今回は安居のすっごい大枠の流れと初日のエピソードをば。

 

■すっごい大枠の流れ

すごい大枠でいきますと、

①上山→②旦過寮(5日間)→③禁足期間(100日間)→④以降禁足あけ→⑤新到(後輩)上山→⑥送行(そうあん)

という流れで一年間を過ごしました。

ちょっとずつ話していこうと思います。

 

■①上山

お山(=僧堂)から指定された集合時間は昼過ぎだったので近くの茶屋で師匠とお昼を食べました。

もちろんカレーです。最後の娑婆カレー、お代わりして師匠と半分こし、カレーと別れを告げました。グッバイ…しばらく私はカレーを口にできない…そんな妹へと、姉がくれたなけなしのカレー味歯磨き粉は持参しております。

そのあとお山の人と落ち合い、説明を受けながら↓のような「ザ・修行僧」という恰好をしてお山に上がりました。中々つけられなくて、周りの人に手伝ってもらう始末。お恥ずかしい。こういう決まった形式のお着替えは苦手なんだよう…(僧侶にあるまじき)

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(引用:

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%9B%B2%E6%B0%B4_%28%E3%81%86%E3%82%93%E3%81%99%E3%81%84%29/

 

しばらく歩いてお山の総玄関に着き、僧堂の入り口にさがっている「木版(もっぱん)」と言われる分厚い木の板を、くっついている木槌で三回叩きます。呼び鈴みたいな役割と言えばよいのか、この叩いた音で修行にうかがったことを知らせるわけです。

叩いた後は「新到よろしゅう!!」という言葉を大声で叫び続けます。15秒間隔くらいですかね。

「新しく修行にまいりました、どうか修行僧として僧堂に入らせてください。」的な意味でしょうか。とりあえず中から人が出てくるまで続けます。

1時間くらい叫ばせるところもあると聞いてましたがこのときは半刻未満くらいで人が出てきました。と言うても叫んでる間は何分やらされるか分からないので怖さ半分、1時間だろうとやってやろうじゃないかという半ギレ精神半分。

人が出てくると、「おまえはだれだ」「どうしてこの僧堂に来た」みたいな問答が始まります。

名乗りはまあいいとして、後者の質問は就活と同じです、何かしら言わんと駄目。多分。

とりあえず何か言わなきゃ!と叫んだ記憶がありますが、思い出すと恥ずかしい。

修行僧ら内部の者と、お寺に訪れる外部の者。様々な人と交わることで自分のどうしようもない我的な部分と対面し向き合っていきたいとかなんとか言ったような…ああ、墓場まで持っていきたい。

しかし安居が終わって師寮寺(家)に帰ってきたら、パソコンの中にその時の動画が保存されていた。叫び続ける自分を背後で見守っていた師匠の仕業である。おかげで家で留守番だった他の家族にも見られてしまった。許すまじ。


追記: 姉が教えてくれた。

 「新到よろしゅう!!」はパソコンとテレビを繋いで親戚などが来るたびに流してくれと師匠に言われたのでもう誰に見せたのか覚えてないけど、結構見せたよ。上映会だよ。


……………これぞ苦行!拷問!公開処刑


うう…とはいえ無事に問答を終えて修行僧として受け入れられました。続く。