前回のあらすじ
疲労と満足と未練と崇敬と、色んなものを携えてルンビニからカトマンズに帰着(1時間半遅れ)
https://currymandara.hatenablog.com/entry/2024/03/23/194657
か、カトマンズに帰ってきた…(へとへと)
もう正直早々にベッドに潜り込みたいが、明日にはネパールを旅立つ身。そして旅の目的の一つがネパールの食を味わうということだ。このままでは眠れないぜ!
とりあえず荷物を置きにホテルに戻ることにした。空港のハコモノから外に出て、すぐそこで順番待ちをしているタクシーを捕まえる(というか捕まえられる)。
「タメル地区のこのホテルまでお願いします!おいくら?」
「1000ルピーだよ」
「1000!? 一昨日のタクシーは空港からホテルまで800だったよ!というか定額で決まってるって聞いてたんだけど…??」
「1000。」
何が悔しいって、もう私に値段交渉する元気が残ってないということだよ…。しょうがないので言い値でタクシーに乗り込んだ。
ネパールだけなのか他国もそういうものなのかわからないが、値段交渉で少しばかり揉めようが、タクシー運転手は車内では和やかに話しかけてくる。そういうところは好きだ。リングの外では争わないみたいな。どこの国から来たのかとか、ネパールではどこをまわったのかとか、よくある会話をしながら相変わらず大渋滞のカトマンズ中心部を走る。ちなみにどんなに車がひしめき合おうが渋滞しようが信号はほぼ無い。
そのうちタクシーは歴史的に重要と思われる大きな建物の横を通った。タクシーの運転手が微笑みながら話しかける。「ここは俺の宮殿なんだぜ(どやっ)」
このネパールジョークをどう流せば良いのか、とりあえず苦笑いでほんまかいなとつっこむ。
「ところでボーイフレンドはいるのかい?」
「!?」
「日本にいようといまいと、ネパールでのボーイフレンドは俺さ!(どやっ)」
「!!???……いや、ちげえよ???」
そのうち俺の宮殿に来ないかという猛アプローチを受けて断り続けるという攻防が続く。そしてなぜかマスクの話題へ。
「なんでマスクをしているんだ!マスクをつけていたら顔が見えない!信頼関係が築けない!」「(なんで関係を築かなければならないのか…?)」
そのあともマスク装着をぶーぶー言ってくるので根負けして恐る恐るマスクを外したら、満面の笑みで「Good!!!」👍と手振りつきで褒められて事なきを得た。
なんなんだ。
ホテルに着いたところで、「彼氏は無理だけど普通に友達ということで。」と伝えて握手をして終わった。40歳すぎと思われるツッコミどころの多いタクシー運転手だったが今となっては良い思い出である。
ホテルに着いて、スタッフに、やっぱり飛行機遅れたよ〜などと雑談を交わしながら部屋に戻り、荷物を整えて再び外へ。夕飯のアタリはすでにいくつかつけてある。
まず一つ目がニューエベレストモモセンターというお店。その名の通りチベット由来の蒸し餃子・モモに特化したお店である。
この日のお昼はルンビニですでにベジタブルモモを食べていた(過去記事参照)が、それとこれとは別だ。店の知名度は高く、ネパール旅行の先人たちの多くも訪れ、おすすめしていた有名店、これは行かねばならない。しかもモモが5個単位で注文可能なのではしご飯にも向いている。
ホテルから15分くらい歩いてお店に着いた。繁華街と言われるタメル地区の北の外れにあり、途中までがったがたの、というか穴の空いた道路を歩いたり、車通りの激しい道路を恐る恐るわたったり(もちろん信号は無い)しながら到着したのは、有名店のイメージから離れたこぢんまりとしたお店で意表を突かれた。(外観は撮り忘れたのでググってみてください。)
↑途中の道路。謎の穴🕳️、穴の周りも謎に窪んでいた。
お店は前払い制である。入り口で注文を伝えてお金を支払う。先程書いた通り、ここはフードメニューは1種類のモモしかない。あとは個数を5個単位で選べるのと、ドリンクの選択肢だけだ。(その硬派な店の在り方に、宇都宮にある正嗣という餃子屋さんを思い出していた。こちらもフードメニューは焼餃子か水餃子のみである)
驚いたのは、店員の皆さんが、日本の食品工場等で従業員さんがつけているような、髪の毛落下防止の不織布キャップをかぶっていた事だ。ネパールにそんな厳密な衛生観念があるのか…と地味に失礼な感心をし、このお店のプロ意識の高さを感じた。
ものの5分もしないうちに、座っている目の前で巨大な蒸し器からモモが取り出され、スープ?ソース?が全体にかけられてテーブルにサーブされた。
疲労と空腹に襲われている自分、手を合わせていただきますの後即座にスプーンで1つすくってパクぅッ…うっ…おいしいいいいい…(じんわり)
ここのモモの中身は水牛(ネパールでは牛は神様の化身という事で牛肉を食べないのだが、なぜだか水牛はOKらしい。)。ネパールの山椒が程よく効いていて痺れる辛さもあれど、全体にかけられたヨーグルトベース?のスパイスソースがマイルドなので、落ち着きが生まれている。
ピリ辛水牛の具と、マイルドスパイスソースとの真逆さが相性良く、抜群のやみつき加減を生み出していた。
(惜しむらくはタイミングが運悪くて若干ソースが冷めていたことだが(自分のが出されてすぐあつあつのソースが鍋に足されていた))
いやあ、美味しいっす。そして今日一日中なんやかんやあった自分を労ってくれている気がする。噛み締めつつも、小ぶりなモモもソースも、あっという間にお皿から胃袋へと移った。
店内を見れば外国人のお客もいれば地元民ぽい人たちもいる。地元客はモモを頼んでさーっと食べては去っていく人たちが代わる代わる訪れていた。
親しまれているなあこのお店…。
モモによってひとまず回復した心身。さて、あたりをつけていた2件目に行きますか…。
ん!?
グルグルグル……
あっ、この感覚は…もしかして…胃のエマージェンシー…………
(思ったより長くなってしまったので)次回に続きます!