寺に住むカレー妖怪のブログ

埼玉は芋芋しい町のとあるお寺に住みついているカレー妖怪のブログです。寺務したりカレー食べたりカレー作ったりカレーを愛でたりしています。 住職に隠れてこっそりやっているお寺のフェイスブック→https://www.facebook.com/unkousan/

ネパール・ルンビニ旅③

前回:

currymandara.hatenablog.com

 

飛行機が約3時間半遅れでルンビニ最寄りのバイラワ空港にたどり着き、なんやかんやあって空港を出られたのが13:00手前。
帰りの飛行機から逆算するとルンビニ滞在は15:30までが目安。フライトの遅延やら空港でのやり取りやらでもうすでに若干疲れているが、気を取り直してルンビニに向かうのだ!こうしている間にもタイムリミットは迫っている。

 

空港を出てすぐにタクシーは捕まった。

懸念と言うほどでもないが、一つ頭にひっかかっていたのがタクシー料金である。旅の情報源としていたのがご存じ『地球の歩き方 ネパール』なのだが、最新版は2021-2022年度版。そこから数年の間に、皆様ご存じの通り世界でいろんなことが起きた影響で、ここネパールの物価も、書かれている数字より1.2-1.5倍くらい上がった印象を受けていた。弾丸旅ということもあってネパールに来てから移動手段にタクシーを使うことが多かったが、この物価上昇に伴う料金値上げが確実に私の財布にジャブを打ち続けており、ネパール後半ラウンド、じわじわと体はいたぶられていた。

地球の歩き方では、バイラワ空港からルンビニまでのタクシー料金は1500-2000ルピーとあった中、聞いてみると、上限いっぱいの2000ルピー。値下げ交渉もしようと思ったが、料金はどのタクシーでも2000ルピーでFIX(固定)なんだ!と言われ交渉の余地なし。本当にFIXだったかはわからんけれども、ここでごねてる時間もない。2000ルピーということでしぶしぶ乗り込んだ。

一息ついておもむろに財布の中身を確認したところで背筋がちょっとヒヤッとした。

ネパールのお金、5000ルピーとちょっとしかない。

往復タクシー料金が4000ルピー確定となり、残りの1000ちょっとルピーでお昼ご飯代をまかなう計算である。ご飯代は全然足りるのだけれど、こういう遠方に来た時に、不測の事態に備えて現金に余裕がないと落ち着かない人間なので、精神的にちょっとぐわっときた。日本円はあるし、クレジットカードもあるから、そこまでビビることもないのだけど、何せ時間がないから両替を探すタイムロスは避けたい…。なんで両替してこなかったのかというと、直前まで思い違いをしていてタクシー料金が1000ルピーくらいだと思っていたからです。(地球の歩き方を読んでいたはずなのに)

 

そんなことをぼやっと思っているとタクシーの運ちゃん(若そう)が話しかけてくれた。ルンビニ内の移動手段を聞かれて当初予定していた徒歩と答える。

「え?16時フライトで帰るのに徒歩?無理だよ~めっちゃ広いよルンビニ!タクシーで回りなよ!空港までの往復で5000ルピーでどう?」

答えはNo!である。何せ本当に(すぐ使える)現金がない。クレジットカードなんてネパールのタクシーでは使えない。お金があったとしても1000ルピーをさらに持っていかれるのはしんどい。今、日本円激弱で泣きたいんだから!

「いい!大丈夫!歩くから!金ないから!」

「いやいやいや無理だから(半笑い)」

「金がないんだってば!!!」

という問答ラリーを数往復し、運ちゃんは諦めたようだ。金無いなんて絶対嘘だろと沈黙が物語っていた。でもTPOに適したお金は本当に無いんだよ…あっても頼まないけど!

人生でまた来られるかわからないルンビニなんだからお金使ったっていいじゃない、両替を探す時間も車の速さを考えればお釣りがくるんだからタクシー頼んじゃえば?という声もあるだろうが、何だか私は意地になっていた。

情勢を考えると仕方ないにしろタクシー料金の割増に辟易していた。というのもあるが、タクシーの乗り心地が良くなかったというのも大きい。カトマンズのタクシーより大き目だからか?車体が大きく揺れることが多かった。加えて私はカトマンズの夜(5℃くらい)に合わせた服装だったのだが、ルンビニはネパールの南、もうすぐインド!という位置にあるからか、日中はカトマンズ(20℃くらい、割と乾燥している)よりも暑く、むしむしっとした気候。窓ガラスのない窓から砂埃が舞い込んでくる車内でガタゴト大きく揺られていると、疲労感も手伝ってどんどん酔い目の方向に傾いていくのを感じていたのだ。なるべくなら車に乗っていたくない。あと、フライト待ちからのフライトからのタクシーなのでそろそろ下半身を自ら動かしたい。しかし本当に徒歩だと本当の本当に時間がない。どうしたものか…。

そんな時、カレー界では有名なカレー哲学さんにルンビニの様子を尋ねたときに「貸自転車がありますよ」と言っていたことを思い出した。これだ!!!!!

 

頭の中で解決策が思い浮かんだところでルンビニ入口横のバザール(商店街っぽい一角)に着いた。

ルンビニに入る前にお昼ご飯を食べたいと聞いていたタクシー運ちゃんがわざわざレストランの前に停めてくれ、ルンビニに入るゲートはあそこだ、ほらそこがレストランだ!15:30に迎えに来ればいいんだな?と確認してくれる。

ありがとう、ではまた後で。とお礼を言い、私はタクシー運ちゃんが教えてくれた目の前のレストランを通り過ぎた。

冷静に考えると本当にすみません…。この時の自分は「タクシーとレストランが組んでお昼ご飯代をぼったくってくるんじゃないか」という猜疑心と「弾丸旅では一食一食が貴重!飯屋は自分で選びたい!」という我欲が頭にあったのだ…。

お釈迦様生誕の地を前になんなの自分。

 

タイムロスを覚悟でちょっと商店街を入っていったところのお店を選んだ。タクシー運ちゃんが選んだお店は道の脇すぐ、一番動線が集まりそうな場所にあったのだが、自然と人が来るような立地のお店は手を抜いているのではないか、と思って避けた。なんなの自分…。

 

自分へのツッコミはどんどん積み重なっていくのだが、「時間がないからすぐに調理できそうな料理を選ぼう」という考えは無く、ベジタブルモモとフィッシュカレーという、その時自分が食べたいものを第一優先に、よくわからない組み合わせを頼んでいた。だって中身が野菜オンリーのモモって食べたことなかったし、昨日食べた魚のいい感じな生臭みに現地感があってクセになっていたんだもの…。

 

ちなみにモモはネパールの餃子みたいなもの。(写真参照、ただしカメラが壊れていたのでピンボケ)

中身はネパール山椒などのスパイスが混ぜられた鶏肉や水牛の肉などが多いが、ベジタリアン向けの野菜オンリーのモモもあるのだ。蒸したてあつあつ、はふはふしながら一口。高菜のような発酵葉物野菜が、あっさりしつつもやみつきになりそうな味わいを出していた。付け合わせのゴルベラアチャール(スパイスとトマトのソース)がまた味変調味料として大活躍。油で焼くのではなく蒸してあるのでもうスルスル食べてしまった。

フィッシュカレーは淡水魚。ネパールには海がない。ちゃんと臭み抜きがしてあるからか、そしてマスタードシードなどパンチのきいたホールスパイスの層が絡められているからか、昨日食べたフィッシュカレーよりも生臭みは少なかった。あの生臭みが恋しいのだけれども、これはこれでとてもおいしい。エネルギッシュな酸味と辛味のあるカレーで疲労が軽減され精気が満ちてきた。

疲労と空腹が重なってあっという間に食べてしまった。まだお腹に余裕はあるのだけれども、空腹が埋められたところで、「早く貸し自転車屋を探さねば」という真っ当に急ぐ心が戻ってきた。

 

お会計してくれたお兄さんは、なんと大阪で働くべくビザ申請中らしい。日本でまたお会いできたらうれしいですね!

クレジットカード使えるよ!と言われてよっしゃ!と喜んだのもつかの間、私の持っているカード会社は対象外であった。泣く泣く現金で払い、財布の心もとなさが増しながらも、おいしい料理でみなぎる元気とやる気!さてとうとうルンビニだ!(やっと)