■ 作務衣
寺務員になる前、会社勤めをしていた頃。
休みの日や行事の際には来客に出たりしておりましたが、困ったのが服装。
一応まだ20代でして、若造の域に入れさせてもらっている自分が、私服でお客様の前に出たり、人が入り混じっている場所で来山者にお声掛けしたりすると、一瞬あるいはニ瞬以上、表情に映し出される「誰だこの人」。
そうですよね、寺関係者だってわかりようがないですもんね。いやーしかし切ない。
自分とこの宗派なら、お坊さんなら髪型でわかる。というか住職は顔なじみだからみんな知ってる。そういうわかりやすいアイテムが、これから顔を売っていきたい新人寺務員にも無いものかしら…というところに登場したお助けアイテムが作務衣。
作務衣すごい。
着用しただけで、来た人が「お寺関係者」だとわかる。
「お嬢ちゃん」としてではなく「寺務員」として見てもらえる。
境内歩いている人にお声掛けしても「???」とならない。
駐車場の扉を開けに行ったとき、ご近所さんと円滑にご挨拶ができる。
町を歩けばキャラ立ちする。
馴染みのコンビニに、「作務衣女」と覚えられてしまったかもしれない。
…作務衣こわい。
寺内・境内にいるときは、私のパワーアイテムだけれども、
外に出れば個人情報漏洩アイテムになりかねない。
でも意外と寺務中に振り込みやら買い出しやらで外出することも多く、そのたびに着替えるのもなんだかな、なので、とりあえず作務衣で外出するときは
上着だけ着替えております。
お坊さんだと勝手がまた違うというか、上下作務衣でも格好がつくと私は思うのだけれど、上下作務衣の女性寺務員は、このご時世とはいえまだまだこの街では目立つ(私見です)。街の名物寺務員になってやろうくらいの気概があればいいんだろうけど…?
しかし上下作務衣の外出は、住職も抵抗を感じる境界線があるようで、
近所のお店ならいいけれど電車に乗るのは気がひけるそう。
この境界線はお坊さんによって、年齢によって、地域によって異なりそうなので、
ちょっとほかのお坊さんにも聞いてみたいところ。
なにか既視感があるなと思ったら、1人〇〇がどこまでできるかの境界線に似ている。