寺に住むカレー妖怪のブログ

埼玉は芋芋しい町のとあるお寺に住みついているカレー妖怪のブログです。寺務したりカレー食べたりカレー作ったりカレーを愛でたりしています。 住職に隠れてこっそりやっているお寺のフェイスブック→https://www.facebook.com/unkousan/

安居生活 旦過寮その②

旦過寮中に終わらせる最低限の書き物を最低限の墨の濃さで終わらせ、以降は僧堂の生活ルール、作法、お経、となえごと等の記憶と実践に費やすこととなる。

 

生活ルールは、返事や挨拶の仕方等々。たとえば先輩や役寮さん(修行僧というよりかお寺に勤務しているお坊さん。修行僧より上の立場)と廊下などですれ違ったら合掌・低頭(礼)をして大きな声で「お疲れ様です」、話を聞く時は合掌、返事ははい、歩くときは叉手という決まった手の組み方で…などなどもっともっと。

ルールは生活を重ねるほど思い出したかのように追加されて行って、体育会系の部活みたいだなあ…と言う印象であったが、後々大きく違うところがあると気が付いた。その話はまた。

 

問題は作法。衣やお袈裟の着方、お拝の仕方、お経本の開き方持ち方、食事の作法、エトセトラエトセトラ…。

お経とかとなえごと(食事、入浴、剃髪など生活動作の前にとなえる短いお経のようなもの。偈文(げもん)と言います)はまだ何とかなる。とにかくまずは覚えれば恰好は付く。

しかし作法については、覚える→実践するの二段構えである。事前に覚えてきた作法も微妙にマイナーチェンジのところがあって、それは覚えなおし。そして量が多い。覚えて実践してできないところをやり直し、覚えたはずが忘れて確認をし、繰り返し繰り返し。Aを覚えたらBが頭から抜けて、Cはまだ全然覚えられていない…うわあん。

 

先輩方は忙しいのか、中々たずねてこない。外は雨、2日目から4日目頃まで激しい長雨が続き、季節にしては平均をうんと下回る寒さ。山の上なので空気は芯から冷える。暖房をつけて良いと破格の待遇を受けたが長年掃除をしていないのか、隙間風のせいか、その効果は中々現れない。震えながら声を出し練習し、わからないところを同室の同期と確認して、少し与太話をするも「覚えなきゃ、がんばらなきゃ」という気持ちから練習を再開し、先輩が来られないか耳をそばだてながら、寒いので体育座りでお経をとなえながら…うとっ。

いつのまにか寝てしまい、今まで出会ってきた色んな人と、かわるがわる夢で会う。元職場のお世話になった人・トラウマの人、家族、小中高大いろんな時代の友達…走馬灯みたいで私は死ぬのか?と思うほどだった。先輩に寝ているところを見つかったら死んでいたかもしれない。お経本を手から落とした音で目が覚めた。

 

朝はほどんど説明のないまま朝のお勤めの見学をし、日中は作法の反復練習をしつつ、覚えるべきことのプレッシャーと閉鎖環境のせいで緊張も不安感も強いのになぜか時々(しょっちゅう)起こる眠気と疲労感と闘いながら旦過寮生活をつづけて4泊5日。

とにかく寒い、緊張、何だか知らんがどっと疲労感、の三拍子で旦過寮をあとにし、5日目の朝から本格的な生活の始まりであった。続く。