なんでカレーが好きなの?とよく聞かれるけれど、理由の一部としては、カレーの分け隔てない感がすごいからだと思う。
私の貧困なボキャブラリーでは「分け隔てない感」と言うしかなくて伝わるかわからないが、例えばこういうことである。
食事保守派の父は、インドカレーは食べないけれどバーモントカレーは食べる。
ムスリムの友人は、ポークカレーは食べないけれどチキンカレーは食べる。
辛いのが嫌いな友人は、激辛カレーは食べないけれど甘口カレーは食べる。
肉好きの友人がマトンカレーを食べる横で、肉を食べない後輩は豆カレーを食べている。
個人個人がそれぞれの好みに合ったカレーを食べている。「カレー」の幅は広い。
だからこそ、「●●カレーがたべられないから代わりに〇〇カレーを食べる」みたいな仕方なさや消去法ではなく、「〇〇カレーが食べたい」という積極的な理由で食べるカレーを選べることが多い。
食べるカレーはばらばらだけれど、それでも、みな等しく「カレー」を食べていることに変わりはない。
カレーの「分け隔てない感」は「無差別感」と言い換えてもいい気がする。
別にチキンカレーは(ハラール肉使用と言われようとも)ムスリム専用カレーではないし、野菜カレーはベジタリアン専用カレーではないし、甘口カレーはお子様専用カレーではない。好みも信条も体質もみな等しく鍋で煮込まれ、カレーを食べているという事実に昇華される。
レトルトでも缶詰めでも家庭でも大衆食堂でもホテルでも専門レストランでも給食でもキャンプでも食べることができ、それぞれにそれぞれの味わいがある。
人や時間や場所の境界を超えて、世界の随所にカレーは存在する。
なんとありがたい存在なのか。
この魅力を言語化できるスキルがない自分が悔しいのだけれど、
ちょっとでもカレーが食べたくなってきたならカレー好き冥利に尽きます。