寺に住むカレー妖怪のブログ

埼玉は芋芋しい町のとあるお寺に住みついているカレー妖怪のブログです。寺務したりカレー食べたりカレー作ったりカレーを愛でたりしています。 住職に隠れてこっそりやっているお寺のフェイスブック→https://www.facebook.com/unkousan/

山形 舟形マッシュカレー ~魅力あるご当地レトルトカレーパッケージとは~

常日頃口うるさいほどに豪語していますが、

ご当地レトルトカレーは味のみでは語れません。

ここならでは!!と思えるような「ご当地感」、その上でのカレーとしての「味」。ご当地レトルトカレーはこの2段構えが肝なのです。

そこで大事になってくるのがパッケージです。

 

では、お土産屋さんやご当地スーパーの陳列棚に並んでいるレトルトカレーとのファーストコンタクト。実際に食すことが難しい状況にて、我々はどこで「ご当地感」を判断するのか。そうです、パッケージです。

飽和状態にある日本のお土産品、ないしレトルトカレー。ここから自らを際立たせるには、自らの商品としての魅力を、すなわち「ご当地感」「おいしさ」「個性」をパッケージから伝えねばならない。パッケージは超重要要素なのです。書籍で言うところの装丁、帯なのです。

 

ではどのようなパッケージが魅力あるパッケージなのか。

まだまだ調査半ばですが、「!!!これはすてき!!」と自分が思わず胸がときめいたご当地レトルトカレーパッケージがこちらです。

 

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引用:www.amazon.co.jp/dp/B004ODC5YS

 

「舟形マッシュカレー」

山形は最上郡、舟形町のカレーです。

一見地味に思えるでしょうか?

あなどるなかれ、このパッケージのすごいところは3点。

①カレーにどんなご当地要素を入れたのかがわかりやすい。

②プラスαのご当地情報が知れる。

③作り手側の、ご当地要素への愛が伝わる。

一つずつ見ていきましょう。

 

①カレーにどんなご当地要素を入れたのかがわかりやすい。

パッケージを見ると一目瞭然!

おもて面にでかでかと、わかりやすく、かつ勢いと丸みを絶妙に含んだ愛嬌のある「舟形マッシュカレー」の字。そしてその脇には、超シンプル、かつ勢いと丸みを絶妙に含んだ愛嬌のあるマッシュルームのイラスト。これだけで、「舟形産のマッシュルームが入ったカレーなんだな!」と一瞬で理解しますが、

更にうら面にはダメ押しの山形県産舟形マッシュルーム使用」(赤字)。

このカレーのご当地要素は「舟形マッシュルーム」に集約されています。

そのご当地要素を、商品名で、イラストで、文章で、しかもそれぞれ独特の字体で、愛嬌のあるイラストで、うら面に赤字で、と、工夫しながら各所に散りばめてアピールしています。個性を見せつつも直球、王道でありつつも印象に残るのです。

 

②プラスαのご当地情報が知れる。

おもて面をあらためて見てみましょう。商品名、マッシュルームのイラストのほかに据わっているものが。

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そうです、地図です。しかもマッシュルームのイラストで場所を表しているんです!

舟形町ってどこだ?」と思った人もいるでしょう。(恐縮ですが自分もです。)そんな人も、地図によって舟形町の場所とサイズ感を知ることができます。更にカレーに入っているマッシュルームが確かに舟形町産であることを、イラストで再確認し、安心することができるのです。(ご当地レトルトカレーの中には、例えばマンゴーが名産の土地で売っているマンゴーカレーにもかかわらず、別産地のマンゴーを使用している(成分表示を見ればわかるので偽装ではない)というものもあったりするんです。)

さらにうら面の左上から、

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舟形マッシュルームが育っている地理環境を知ることもできます。

このカレーは、パッケージを読みながら、舟形マッシュルームが生まれ育った、川が流れる山間の町を想像しながら食べるのがおすすめです。

 

③作り手側の、ご当地要素への愛が伝わる。

前述の通り、ここでいうご当地要素とはすなわち「舟形マッシュルーム」。

そもそもね、商品名やらイラストやらでこれでもかというほど「舟形マッシュルーム」を推しているだけでも「舟形マッシュルーム大好きなんだな!」と感じられます。

しかもお気づきの方も多いと思いますが、地図で町の場所を表しているマッシュルーム、なんとわざわざ顔が付いている…!(画像粗くてすみません)他の場面で出番はあるのか…?

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舟形マッシュルームを我が子のように慈しむ、温かな愛がひしひしと伝わってきます。

そしてとどめというばかりに自分の胸を突いたのは、再びのうら面左上。

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「一人でも多くの人にマッシュルームの美味しさを伝え、家族みんなで味わってほしいという願いをこめて、舟形から家族の食卓へお届けします。」

生の状態では、保存や持ち運びに限界がある。それでもその美味しさを、舟形町に訪れた人だけでなく、そのご家族にも、もっと多くの人にも味わっていただきたい…舟形マッシュルームの味に愛着と自信をもっているからこそ浮かんでくる気持ちではないかと思います。そんな作り手の方々が考えを重ねた結果、浮かんだ答えが、あらゆる人や食環境に対応しやすいレトルトカレーだったのでしょう。

 

これはパッケージの話ではないのですが、実際にね、味もすごくおいしいんです。

厚くスライスされたマッシュルームがごろごろ入っていて、パッケージのお膳立てに応える存在感を出しています。野菜仕立ての、濃すぎないシンプルな甘さのカレーソースが、マッシュルームの素朴な味わいを引き立たせています。

 

食べ終わった後の満足感は、パッケージでご当地感を堪能し、ご当地の作り手の思いを受け止め、実際にカレーを食してご当地感を追認し、尚且つおいしかったからこそ。

最初に述べたように、ここならでは!!と思えるような「ご当地感」、その上でのカレーとしての「味」。あくまで私見ではありますが、舟形マッシュカレーは、ご当地レトルトカレーの肝であるこの2段構えが完全装備されている、と感じました。

 

ぜひ、目にする・口にする機会がありましたら、

この駄ブログの駄文をちょっと思い出し、パッケージと味の両方を堪能していただければ幸いです。

ここに書いても届くかわかりませんが、山形舟形マッシュカレーの製造・販売に携わっている方々、素敵なカレーをありがとうございます。